第四話 禁忌と偽善と侵入者

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 先ずは一番消費DPの少ないゴブリンを2匹召喚。  広々とした大広間、この場所は元はネイズの部屋だ。整頓のされていなかった小汚い部屋は見る影もなく、無駄な物は一切無くなっている。  あるのは机と椅子と棚。それと半透明の板のようなもののみだ。 「召喚を始めよう」  部屋の天井付近に出現する幾何学的な魔法陣、その中心から何かが生み落とされる。  子供程度の身長をした2匹の子鬼、名はゴブリン。鬼属ゴブリン種の魔物が魔法陣より生み落とされた。 「ギギィ?」 「ギギギ?」  辺りを見回すゴブリン達。見回してすぐにクロニアを見つけると、共に膝をつき造物主に頭を垂れる。  これで残りのDPはたったの130。 直ぐ様クロニアは融合を選択する。命ある生物を生み出した禁忌、命ある生物を犠牲にして新たな存在を作り出すという禁忌。  新たな禁忌を犯すべく、クロニアは右目に浮かぶ“融合”を選択した。 「ギィっ!?」 「ギギィッ!?」  天井付近から先程とはまた別の魔法陣が展開する。幾何学的な紋様だが召喚した時に浮かんだ魔法陣とは何かが違っていた、何が違うか迄は判らなかったが。  魔法陣から伸ばされる触手に似た何か。それらが抵抗するゴブリンに絡まり、全身を包み込む。  魔法陣に引き寄せられ、ゴブリンの姿が認識できなくなり。喧しかった声は消え、静寂が漂う。 「……失敗か?」  零れた呟きに呼応するかのように、魔法陣が強く発光し――。  その中心から、新たな命が生まれ落ちた。 「ギギギギギィ!!」  2つの頭をもち、4本の腕を有した魔物。足だけは通常通り2本しかないがパッと見た限り逞しい筋肉に覆われており、これは成功したかに思われた。 [双頭のゴブリン] [体力] 【85】 [筋力] 【80】 [耐久] 【60】 [魔力] 【5】 [知力] 【10】 [敏捷] 【30】 [スキル] 【無し】 [称号] 【無し】 【2匹のゴブリンが融合した事により生まれた魔物。2つの頭と4本の腕、体格は通常サイズより一回り程大きい。元が最下位のゴブリンだが知能は多少上がった、というより2つになった事でより考えがまとまらなくなってしまった。大きくなった為に敏捷性も低下したが、魔力を除いたそれ以外の能力値は向上した】
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