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両断、正に両断だった。震える足めがけて振り下ろされしその一撃を形容する言葉は――鮮やか。
目にも止まらぬ速度で男の震える足を両断し終えてから数瞬後、一瞬遅れて血が噴き出す。新しい血の雨が、草木を赤く彩る。
「あッがああァアあっ!?」
叫び、喚き、悲鳴を上げる哀れな男の声を聞いて。血の雨を降らせた張本人、クロニア・レプリが浮かべる表情は。
言葉では言い表せられない程の不快感に、満ち満ちていた。
「泣くな、喚くな、囀るな」
それら全てが煩わしい、喧しくて堪らない。悲鳴も、涙も、懺悔も、後悔も必要ない。犯した罪は償うべきだ、殺していいのは殺される覚悟のある奴だけだ。
「お前にはあったのか? 殺される覚悟とやらは」
切り裂き抉り無残に潰す、血潮の雫が辺りに飛び散る。
それでも猶、クロニアの不快感は拭えなかった。
「――――」
影の騎士がクロニアの肩を軽く叩いた事により、一方的な惨劇が漸く収まる。
最早肉片しか確認できず、死体とすら形容できないものを眼下に置き、返り血を浴びたクロニアの視線が別のものへと移る。
「……」
視線の先には、凌辱され殺された哀れな少女の姿が。
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