第四話 禁忌と偽善と侵入者

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 ゴブリンと土人形はダンジョン拡張の為の掘削作業、影の騎士はそれの監督として働いている。  一つ眼の鎧鳥、ガーゴイル、コボルト、ハウンドは森の探索。魔物を見つけ従えさせるか、殺して餌として持ってくるのが彼等の仕事だ。  キラーワームは当初掘削作業についていたが、あまりに激しく壁を壊したりする為に事故で何匹かのゴブリンと土人形が使い物にならなくなってしまい。  今は比較的安全な大広間で自由にさせている。 「……疲れるな」  今までの日々を思い返し、クロニアは最近癖になりつつあるため息をつく。  思いの外大変な日々だった。各種族ごとに居住区を設け、生み出した魔物の餌を考えなければならない。  精霊である影の騎士は食物は必要ないが生きる為には最低限の魔素がいる。  魔力の流れを上手く循環させるように、ダンジョンの中心地にて巨大な魔法陣を彫刻中だ。 (そういえば、アイギスは俺を魔王と呼んだな)  顎を指の腹で擦り、クロニアは思い返す。 (ダンジョンマスター=魔王なのか? ならあのワーウルフは何だ。あいつも魔王と呼ばれていたのか)  気になる単語、アイギスはクロニアの事を魔王と呼んだ。初めて言葉を交わせる配下が出来た為、その単語を言われたのは初めてだ。  もしかしたら、召喚した魔物達がひれ伏すのはクロニアが魔王であるのだと本能的に察したからなのかもしれない。 (魔王とはただの記号だ、これさえあれば誰でも魔王になれる)  右の瞼をさすりつつ、魔王という存在を改めて思案する。生み出した配下は分け隔てなくダンジョンマスターに忠実だ、更には融合などを用いて本来ならば存在しない魔物をも生み出せる。 (────────────という訳では無いのかもな) 「キシっ。ねぇ魔王さま」  己を呼ぶ声が思考を中断させる。ダンジョンの中心地にて魔法陣を彫刻していた筈のアイギスが、魔王に呼び掛けた。
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