第四話 禁忌と偽善と侵入者

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「……アイギス」 「ん?」  キラーワームの居住区、洞窟内でも随一の広さを誇る空間にて、今しがた召喚した魔物を見据えるクロニアとアイギス。 「なんだ、アレは」  見据える先にいたのは、3匹のキラーワームの内のどれよりも一回りは大きい体躯を有したもの。 「キシっ。キラーワームだよ?」  ――たぶん、と続いた言葉を聴いて。 「はあ……」  クロニアは本日幾度目かの、深いため息をついた。  2人の視界に映るは、白く頑丈な糸に包まれている巨大な繭の塊。  全長4メートルに近いキラーワームより一回り程大きなこれは、アイギスが召喚した魔物だ。  キラーワームの必要DPは550。 魔力耐性と知能を除けばそれなりに使える魔物だった筈なのだが、今目の前にあるこれに戦闘能力があるのかどうかは甚だ疑問だ。  3倍近いDPを消費して召喚されたのがこの巨大な繭とは、前途多難の文字がクロニアの脳に浮かぶ。 「ボクはそろそろ魔法陣を彫刻する時間だから。……キシっ」  適当な理由をつけ、目が泳ぎ、今にも逃走を計るアイギスの頭を掴む。  そっぽを向いている顔を此方に向き直らせ、目を見つめる。 「……お仕置きの、時間だな」 「……やさしくしてね?」
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