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「……アイギス」
「ん?」
キラーワームの居住区、洞窟内でも随一の広さを誇る空間にて、今しがた召喚した魔物を見据えるクロニアとアイギス。
「なんだ、アレは」
見据える先にいたのは、3匹のキラーワームの内のどれよりも一回りは大きい体躯を有したもの。
「キシっ。キラーワームだよ?」
――たぶん、と続いた言葉を聴いて。
「はあ……」
クロニアは本日幾度目かの、深いため息をついた。
2人の視界に映るは、白く頑丈な糸に包まれている巨大な繭の塊。
全長4メートルに近いキラーワームより一回り程大きなこれは、アイギスが召喚した魔物だ。
キラーワームの必要DPは550。
魔力耐性と知能を除けばそれなりに使える魔物だった筈なのだが、今目の前にあるこれに戦闘能力があるのかどうかは甚だ疑問だ。
3倍近いDPを消費して召喚されたのがこの巨大な繭とは、前途多難の文字がクロニアの脳に浮かぶ。
「ボクはそろそろ魔法陣を彫刻する時間だから。……キシっ」
適当な理由をつけ、目が泳ぎ、今にも逃走を計るアイギスの頭を掴む。
そっぽを向いている顔を此方に向き直らせ、目を見つめる。
「……お仕置きの、時間だな」
「……やさしくしてね?」
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