25844人が本棚に入れています
本棚に追加
「結局は影の騎士頼りになるとは思っていたが、知らない顔がいるな」
戦闘が終わった事に気付いたクロニアは、アイギスを連れてキラーワームの居住区へと顔を出しに来ていた。
土人形やゴブリン達が何日もかけて整備した大広間は哀れにも壊され。壁や地面、果てには天井にまで多くの亀裂が入っている。
クロニアの背後から部屋を盗み見たとあるゴブリンは、涙を流しながら地面に膝をついていた。
彼の纏うオーラはまさに絶望。アイギスが召喚した魔物であるこのゴブリンは、多少知能が高かった為に整備部隊の隊長を務めていたのだ。
感じる落胆も人一倍ならぬ、ゴブリン一倍といえるだろう。
アイギスが名付けた彼の名前はブリ。曰くゴブリンを可愛くしようとしたらこうなったとか。
と、自身の背後でそんな事が起きているとは梅雨知らず。クロニアは目の前の存在に驚いていた。
『キシシッ。アァ腹減った。あァン? 何だそのゴブリンは、喰ッていいのか?』
死神の鎌のような大顎を有した巨大な蜈蚣、全長は12メートル程か。
どこぞのチンピラよろしくの口調で危険な事を宣う蜈蚣は、クロニアとその背後でゴブリンのブリを慰めているアイギスを見て。
本能が察した。主人とはこの方なのだと。
最初のコメントを投稿しよう!