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「・・・っ朝か」
カーテンの隙間から射し込む一筋の光が俺の目に直撃する。
部屋の電気は一つもついていないにも関わらず、窓から射し込む光のおかげで部屋は十分明るかった。
外は晴天。体調は良好。
完璧な一日の始まりだ。
ただ一点を除いては。
上体を起こした俺の目に入ってきたのは目覚まし時計。
そういえば今日は目覚ましなしでひとりでに起きたが・・・。
「あ~・・・なるほど。寝坊か」
まだ頭の中がぼんやりしているせいか、なかなか思考が定まらない。
しかし次第に状況を理解していく、そして。
「遅刻じゃねぇかああああああ!!!」
言葉と同時に俺は布団から飛び起きると一目散に着替えを始めた。
最悪なことに今日は高校の入学式。しかも日本を代表する国内最大規模の高校「天都中央学園」の入学式なのだ。
俺は常人では信じられない程のスピードで着替えを終えると部屋を飛び出て階段をかけおりそのまま家を飛び出した。
「優人~いってらっしゃ~い・・・ってあら?もう聞こえてないかしら?ふふふ」
母の声などお構い無しに俺はそのまま猛然と走り始めた。
向かう先は中央都市センターステーション。
俺の住むこの町、通称「中央都市アントウ」は日本のあらゆるものが発展した、まさに「未来都市」と言っても差し支えないほど。
その理由の1つが機械を越えた新たな科学「ランザート」。
とある科学者が開発した革新的な存在で、人の操作や設定されたプログラム通りに動く機械とは違い「人の意思」によって作動する全く新しいものらしい(正直俺もよくわからない)
ランザートのおかげでこのアントウは目まぐるしい発展を遂げて時代の最先端を行く中央都市として今に至るのである。
母さんが言うには俺がまだ小さかった頃に今は行方不明の父さんがこの町の移住権をくれたらしい。
おかげで俺は世界中の注目の的、天都中央学園に入学できるわけだが・・・。
「遅刻したら意味ねぇだろおお!!」
お先は真っ暗だ。
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