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「――俺と魔物の魂が同化したのは、十三の時だったのは、アイシャに話したよな」
コクリ、とアイシャが黙って頷く。
「俺はそれから独りになった。
俺の半分魔物の姿を見たやつは、それまで側にいた同じ年代の子供から大人まで、全員が同じような目で俺を見た。
醜くて恐ろしい化け物を見る目だ。
家に時々出入りしてくる奴も、親父やおふくろすらも信じられなくなって、俺は家の地下でほとんどを過ごしていた」
キラがこの話をするのは初めてだ。
キラはリヒトベルク学園でも無口で、あまり他人とは関わらない。自分の半分魔物と化した姿を隠すことはできないからだ。
「が、急に親父が俺を地下から引っ張り出して言ったんだ。
人間として生きろ、生き方を学んでこいってな」
アイシャがそれを聞いて控えめに笑う。
「なんか、キラのお父さんっぽいね」
アイシャは一度、キラの父親に会ったことがあった。どうやら家にも泊まったらしく、父親のことはよく知っている。
「最初はすぐ学園を辞める予定だったけどな。
今は感謝してるよ、親父に」
そう言ってキラはアイシャに笑いかけた。滅多に表情に出すことがないキラが作った笑顔は少しぎこちない。
「大切な人の側にいて守ることができるから」
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