22人が本棚に入れています
本棚に追加
/95ページ
アイシャの頬がほんのり赤く染まる。そして彼女は慌てたように俯いた。
「キラってたまに……殺し文句をサラッと言っちゃうよね」
キラとしては素直な気持ちをそのまま伝えただけだ。殺し文句という意識はさらさらない。
アイシャが俯いたまま、キラの服の袖を軽く掴む。時折、アイシャは不安になるとこの様な行動に出る。
全く、女心というものはわからない、どうしたものかと考えた末、キラはアイシャの頭に軽く手を置いて言った。
「アイシャ……俺は、アイシャ以外の他人とはほとんど話しをしないんだが」
暫しの沈黙が流れる中、虚をつかれたような表情をしたアイシャが、顔をあげてキラを見つめる。
「だから、その――心配する必要なんかないだろ。
俺はアイシャしか要らない」
そう言ってキラはアイシャを引き寄せる。アイシャの体温は温かい。
「安心したか?」
内心ドキドキしながらキラが尋ねると、アイシャは急にクスクスと笑いだし、彼に抱き寄せられたまま言った。
「うん、信じる。
大好きだよ、キラ」
どっちが殺し文句だ、と思いながら、キラは腕の中にいるアイシャをさらにきつく抱きしめたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!