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少女は驚いて目を瞬かせ固まっている。
「すまない、大の大人がそんな事を言うのか」
そう言ったことで、自身が言った発言に理解し、みるみるうちに顔を真っ赤に染めた。
よほど恥ずかしいのだろう彼女は、そっぽを向いて両手で頬を包み耳まで赤くなっている。
少女は背を向けて怒りながら笑うなと訴えるが、その姿が可愛らしく見えるので、説得力がない。
しかしいつまでも笑うのは流石にまずいと思い謝罪して、改めてどこから来たのか再度問うが、少女は首を左右に振りこう言った。
「…事情があって、帰れないんです。」
「帰れない?」
詳しい事情を聞こうとするも、少女はそれ以上話さず黙って顔を俯かせる…言えない事情だろうか、いずれにしても理由が把握できないと何も出来ない。
小さく溜め息を溢して、少女を置いて去るふりをすると少女は焦ったか、戸惑いがちに呼び止めた。
「言えないならいいが、黙ってると何も出来ない」
そう言うと少女は口ごもり、暫く沈黙し続けていると彼女は口を開いた。
「…貴方はどちらへ…?」
「この先の都市に向かう途中だ」
だがそれが彼女となんの関係が…
「では連れていってください!」
と言う彼女の言葉に予測していたのかあまり驚きはしないが、人が側にいる事が嫌だった。
罪のない人間を傷つけてしまいそうで、簡単に承諾することができずにいた…そんな俺を心配そうな顔で覗き込んでくる少女。
彼女の瞳の奥に、情けない自身の姿が写されている…
…人前で見せるものじゃないな…
「…厄介事に捲き込まれるぞ」
真剣身を醸し出して言う俺の言葉に、彼女は微笑んで大丈夫だと言った。
その時、彼女の右腰部分から太陽の反射で何かが光ったのが見えた。
「…剣の心得が?」
彼女の腰に飾ってあるのは剣のようだった。
心得があるのかと問うと彼女は首を左右に振り経験がないと言う…。
溜め息を溢すも、基礎を身に付けさせるために彼女の後ろに回り鞘から剣を抜き取り構えさせる…。
戸惑いながらも彼女は俺の言葉に耳を傾け動いている。
「そんなに肩を張るな、力を抜け」
言う度に肩が反応するのは耳元で言うせいだろう。しかし一刻も早く自身の身を守る術を身に付けてほしい。
そんな思いからか、面倒をかけてしまう…まるで身内の人間と接しているようだ。
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