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「女の命が惜しければ来い」
そう言われて掴み掛かろうと足を踏み出すと、茂みから彼の仲間と思われる数人の男女が銃を向けてきた。
…多勢に無勢か、ここは大人しく言うことを聞いた方が良さそうだ。
ゆっくりと両手を上げ彼等の指示に従うと、懸命だと言いシリウスを手中に先導して歩いていった。
殴り掛かりたいのを抑え、苛立ちを覚えながら渋々後を着いていくのだった。
暫く森のなかを歩き続けると、開けた場所に所々崩れた古屋敷が建っていた。
以前王族なんかが住んでいた屋敷だろう…使われなくなった古屋敷から彼の仲間が帰りを出迎えている。
俺とシリウスはそのまま屋敷の中へ入れられ、牢へ監禁される…部屋は、想像した薄暗い所ではなく、綺麗に整えられた広い部屋だった。
…せめてもの配慮、だろうか。
だが捕らわれている事に変わりはない。ここを脱出することを考えなければ。
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