序章~紗衣の日記~

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「幼稚園のアルバムだ」 あたしはつぶやいた。 ここ最近、引っ越しの準備に追われている。 机の引き出しの奥から、押し入れの奥から、次々と記憶の一部が出てきた。 何か出てくるたびに、思い出にひたってしまうため、なかなか引っ越しの準備は進んでいない。 幼稚園のアルバムを見ているとお母さんの足音が聞こえてきた 「紗衣!!!いい加減に準備しなさい!!引っ越しの準備もテキパキ出来ないようじゃ、1人暮らしなんて無理よ!!」 怒られてしまった。 でも正直、1人暮らしではない。 家から遠くの大学に行くため、家を出ることになった。 そこで近くの大学に通うことになる直人と暮らすのだ。 直人とは高校1年の冬から付き合っている。 もう2年以上だ。 直人はどんなときもそばにいてくれる。 おまけにかっこいい。 勉強もできる。 スポーツも。 なんであたしなんかと付き合っているのだろう。 未だにわからない。 こんなすてきな彼氏がいて……あたしはどうして…… 押し入れの一番奥。日記が出てきた。あたしのだ。 ×🌕年8月12日… あたしが事故にあう前の。 「こんな日記書いてたっけ」 あたしは読み始めた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!