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「幼稚園のアルバムだ」
あたしはつぶやいた。
ここ最近、引っ越しの準備に追われている。
机の引き出しの奥から、押し入れの奥から、次々と記憶の一部が出てきた。
何か出てくるたびに、思い出にひたってしまうため、なかなか引っ越しの準備は進んでいない。
幼稚園のアルバムを見ているとお母さんの足音が聞こえてきた
「紗衣!!!いい加減に準備しなさい!!引っ越しの準備もテキパキ出来ないようじゃ、1人暮らしなんて無理よ!!」
怒られてしまった。
でも正直、1人暮らしではない。
家から遠くの大学に行くため、家を出ることになった。
そこで近くの大学に通うことになる直人と暮らすのだ。
直人とは高校1年の冬から付き合っている。
もう2年以上だ。
直人はどんなときもそばにいてくれる。
おまけにかっこいい。
勉強もできる。
スポーツも。
なんであたしなんかと付き合っているのだろう。
未だにわからない。
こんなすてきな彼氏がいて……あたしはどうして……
押し入れの一番奥。日記が出てきた。あたしのだ。
×🌕年8月12日…
あたしが事故にあう前の。
「こんな日記書いてたっけ」
あたしは読み始めた。
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