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高校の入学式、中学で親しかった友人は一人も同クラスに居らず、俺は知らない人と人に挟まれて、若干の緊張を覚えながら校長の話を聞いていた。
そんなとき、俺に小声でひそひそと話しかけてきたのが、隣に座る、癖のあるショートヘアの彼女だった。
「なっげーね。校長センセの話」
「古今東西、どこでもそうだよ。これは仕方のないことだ。いちいち文句言う方が疲れる」
「確かに」
「俺、夏目 奇跡、よろしく」
「おぉ、どこかで聞いた名前」
「よく言われます、中学ではそーせきって呼ばれてた」
「あはは、じゃあボクもそーせきって呼ぼうかな」
彼女が自称を『ボク』と言ったことに少し驚いたが、顔には出さないで済んだ。
俺の幼なじみはもっと変人、もとい変態なのだ。こういうのには免疫がある。
「ボクは広岡 明里ヒロオカ アカリって言うんだ。よろぴくねっ☆」
キラッと☆の出そうなウインクだ。
にしても、
「よろぴくって」
「かあいいでしょ?」
「ん……んん、まぁ」
可愛い子がやれば絵になるな。
つまり、広岡さんは似合っている。
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