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あれ、もしかして、これって――。
その時、レリアが感じた事だった。
もう1回、発動できる?
太陽と月のペンダントには、奇しくも先程の半分くらいの魔力が残っていた。
もしも、もう1度発動できるとするならば、ちょうどすっかりとその中身を使い果たせてしまうくらいの絶妙な量だったようにレリアは記憶している。
レリアはすぐに、直感どおりに行動を起こした。
ぐずぐずしていると、アズ・フィニスのほうに魔力を持って行かれるかもしれなかったからだ。
レリアは再び祈った。
今度は、怜人の事を。
それからしばらくして、レリアが瞳を開いた時、ペンダントの魔力はすべて消えていたのだった。
その瞬間は、確かに周りの空気が変化していたのを彼女は感じた。
「なあに、黙り込んでんのよ」
レティシアの声がして、はっとした。
「あ、うん。ちょっとね……」
ぎこちない返事になった。
きっと、顔は強張っていただろうと思った。
そう思ったのは、レティシアの暗い表情がそれを反映してくれていたからだった。
彼女は、消えそうなくらいに小さな声で、ぽつりと呟いた。
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