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「ファビュールにはいくらの人間がいるでしょうか?500万、いや、1000万はいると言われています。魔力が消えてしまえば、もちろん被害は甚大。打つ手としてはこれ以上ない最善の手でしょう」
クラフトの眼光には狂気じみたものすらあった。
身分の事をいえば高いほうに位置するはずのルモンドですら、少したじろいでいるのだ。
ルモンドがごくりと生唾を飲み込み、額に汗を溜め込んでも、クラフトは動揺ひとつ見せていない。
「クラフトくん、だったか?なかなか君も悪い子だねぇ」
からかうようにデイトは笑う。
一瞬だけ、注意していないと誰もわからないくらい、クラフトの眉間に力が入った。
おちゃらけたデイトへの不快感だろう。
しかしすぐに表情を緩ませる。
へりくだる事もクラフトにとっては外交の1つなのだ。
「ご冗談を。私はドラクロスに帰り次第、レリア=ライファーズについて調査を開始しますよ。手配が出たらすぐに手を下せるように、ね」
不敵に笑って、クラフトは部屋を出て行った。
それにドラクロス王が続く。
浮かない顔のルモンドも、その背を追うように続いた。
まだニヤニヤとしているデイトに、エイハブの視線がいく。
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