冷厳の国

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「何か変わってるよね?名前は何て言うの?」 「変わっている、変わっていないは、主観に基づく考えに過ぎません。私は自分を変わっているなどと思っていないし、あなたもまた、思っていないでしょう」 顔を向ける事なく、女性は言う。 デイトは首を斜めに倒した。 「難しい事を言うね」 「いえ。客観的な意見を言ったにすぎません。……そういえば、自己紹介がまだでしたね」 妖艶な目つき、口元、そして表情。 それがデイトへ向いた。 「私はバハリアスです。……以後、お見知りおきを」 「はは……よろしく」 短く笑ったデイトの表情には、緊張感があった。 本日の2度目だ。 圧倒的なるバハリアスの威圧感の勝利だった。 消えていく背中を呆然と見るデイトへ、一言を発して、エイハブも部屋を出ていった。 がらんとした会議室にはデイトと、そしてその護衛の男が残っている。 男は、右左、それから周囲に視線を飛ばした後デイトによった。 「デイト様、例のブレヴィル襲撃の際に現れた、リフクレア一族の末裔と思われる男。黒い鎧に黒いヘルメットの男です。彼の情報は話さなくてもよろしかったのですか?」 デイトは鼻を鳴らした。 「ええ。当たり前ですよ……」 先程の陽気で気さくなデイトとは違う。 怪しく落ち着きを放ち、自信に満ちた声を出し始めた。
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