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「だって、ほんとのことなんて書けないもん」
と、レリアは開き直った。
「そうよね。まさか、『あたしが使った究極魔法で世の中の魔力を全部使ってしまいました。だからもう、2度と魔法が使える日は来ません。ごめんなさい。めでたし、めでたし』、じゃあねえ……」
彼女は何度も深く頷いている。
「まあ、そういうこと。でもいいじゃない。あたしはね、その前に世界中から命を狙われてた身なのよ?それくらいのわがままなら許されてもいいんじゃない」
「ま、文章の改ざんについてはそうだけど、フォーシュのほうはずいぶんと大きなわがままよね」
「だって……あのときは、さあ。それどころじゃあなくて」
あの時、とはもちろん、アイアンホークでフォーシュを発動した時の事だ。
これを改めて指摘されると、レリアはいつも、ばつの悪い思いをするのだった。
確かに、フォーシュの事をもっと深く理解していたら、結果は違っていたかもしれないし、レリア自身の考えも少しは変わっていたのかもしれない。
レリアはフォーシュについて、単純だが、大きな勘違いをしていたのだった。
「でも、それについては私も同じよ。にしても、まさか、よね」
フォローするように彼女が言う。
勘違いについてはレリアだけでなく、誰も皆がそうだった。
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