プロローグ

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「まったく、近頃の若い者の考えは……よく見れば側近まで……。それに側近の方は女性ですか」 デイトはベンハルトの背後に佇む、同じく若い女性に目を配った。 俯いていた女性が僅かに顔をあげ、妖艶な口元と表情があらわになった。 「お構いなく……。力の程は確かだと自負しておりますから……」 彼女はそう言って、口角をあげて微笑んだ。 赤い髪の毛が怪しい輝きを放っている。 「まあ、いいでしょう……」 その雰囲気に押されてしまったのだろうか。 尻込みをするように、デイトの声は小さくなった。 その時、エイハブの咳ばらいが響く。 会議を締める合図でもある。 「魔力を月へ還元させる訳にはいかない、という利害が各国で一致しました。よって、それを絶つため、レリア=ライファーズをファビュール全土に渡って指名手配。全世界にこれを通告後は、彼女を発見次第、拘束し、死刑に処する。以上、これにて議会を終了する」
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