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「急に声出さないでよ。びっくりするじゃない!」
レリアは大きな声をあげた。
胸元に光る、1枚の羽根を模したペンダントに向かって、だった。
『すまない……。だが、お前程、口の悪い者は今までいなかったな』
丁寧で、どこか重々しい口調で渋い声を出すものは、今度は少し嫌みたらしく言った。
「ふん。大きなお世話よ」
レリアはそう言って、右側に見える窓に視線を飛ばした。
その向こうには、空が広がっているのが見える。
「でも、あんたには感謝してるわ。でなきゃ、ここには来れなかっただろうし……」
レリアは不敵に微笑んだ。
視線の先の空は、青々としたものはなく、一面が厚い雲に覆われていて、その上赤い。
夜にもかかわらず、だ。
それがまた、心を何か不安な方向へと煽る。
『……にしても、お前がそこまで入れ込む何かがあるのか?その、リフクレアの血には』
「うっ、うるさいわね!そんなのあたしの勝手でしょ!あんたは黙ってあたしのピンチを助けてくれればいいの!」
レリアは、思わず声を大きくして話題を終了させた。
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