プロローグ

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そんな恥ずかしい事は、しゃべりたくなかった。 仮にしゃべったとしても、彼には理解して貰えないだろう、とも思っていた。 モンスター、いや、それを超越した存在である聖獣といえども“感情”はないだろう、と。 しかしどうやら、単なる“感情”はあるらしかった。 それは、ここまで行動を共にして気づいた事だった。 その証拠に、彼は先程から嫌みな台詞を口にしたり、レリアに疑問を呈したりしているからだ。 でもおそらく、レリアが今抱いている、この“感情”は人間特有のもの。 モンスターにはないものなのだ。 もしかすると、人間ですらそんなに長続きなんてしないものなのかもしれない。 そう考えると、自分はちょっと変わってるのかな、とレリアは思った。 なにせ、この“感情”はあれから、3年が経過しても、ちっとも色褪せてなどいないのだから――。
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