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「いけないね、ベンハルト君。若者はもっと素直で従順な態度を見せないと。ほら、彼みたいに……」
そう言って、“彼”と呼んだ対象に視線を配ったのは、フェルムランドの島長に立つデイトだ。
相変わらず、物腰の柔らかな口調と表情だが、胸の内はどうなのだろうか。
「い、いえ。私は……まだまだ」
デイトの視線の先に座っており、たった今金髪の後頭部をかいて言葉を濁した男は、バルティア国王であるルモンド=バルティアである。
元ホープの面々が救い出した、まだ若い国王だった。
「そうだぞ。ベンハルト総監」
エイハブが同調した。
「ルモンド君、君は何年目かな?」
とデイト。
「あ、はい。就任して3年が経過しました」
慌て気味にルモンドが言葉を返した。
頼りないようすは、あの頃からあまり変わっていない。
とはいえ、この面々に囲まれれば致し方ないところもあるのだった。
「3年、ね。ようやくといったところだね」
デイトは柔らかい笑みを浮かべた。
口調も優しく丁寧である。
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