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そうして夜は更けた。
エレノアは眠りにつき、レリアもそうした。
無意識の内に、誘われていた。
それからどれくらい時間が過ぎただろう。
悪い夢を見た訳ではないが、レリアは不意に目を覚ました。
エレノアの姿がある。
その向こうには窓がある。
外は暗い。
まだ夜明けは遠いようだ。
ふと反対を見ると、ハーティの姿がなかった。
「あ、れ?」
見渡したがいない。
まあ、それは当たり前ね、とレリアは眠たい目をこすった。
いくらハーティが小柄だからって、こんな狭い空間で隠れたりなんてできない。
となれば、外だ。
こんな遅い時間にどうしたんだろう?
レリアはベッドの頭側の、その後ろに無造作に置かれた上着を手にとり、横へ移動した。
車のドアを開ける。
180度に開かれた座席の下には、ミュールがある。
選択を間違えたかな、と思った。
素足は寒い。
そんな事を思いながら、大地へ足をつけた。
とりあえず、見える範囲にハーティはいなかった。
車体を伝って反対側へ。
やはり、松葉杖がないと歩くのは厳しいが、掴まるところさえあればなんとかなりそうだった。
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