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1、2分をかけて、やっとの事で裏手に回ると、意外にもあっさりハーティを見つけた。
車体にもたれて、足を三角に折り曲げて伏せている。
ハーティ――。
そう呼びかけようとして、レリアはやめた。
本当に僅かだったが、鼻をすするような音がしたからだった。
ハーティは泣いているのだ。
あの奔放なハーティが、どうして?
だからこそ、無性にいたたまれない。
声をかけずにはいられなかった。
きっとこれには何か深い訳があるんだ、と簡単に想像できた。
しかし勝手な想像ともいえる。
「ハーティ、大丈夫?」
すると、特に驚いたような反応を見せる事もなく、ゆっくりとハーティは顔を上げた。
両目に涙がたまっていた。
「レリアさん……」
「何かあったの?」
「……寂しいな~と思って。リーサは今、どこにいるんだろう、って」
ハーティはまるで隠す事なく、すぐにレリアに訳を話してくれた。
なんの躊躇もなく心を開いてくれた。
裏表のないハーティだからこそ、そうしたのだろう。
彼女の心が綺麗な証拠だった。
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