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ただ、本当に――。
リーサは今、どこにいるんだろう?
「もしかして、トレントルムに帰ってるのかな?」
故郷でひっそりと暮らしているのかもしれなかった。
「う~ん。リーサは、リベッドさんに変にされちゃたから、きっと、リベッドさんに勝てるように、今も頑張ってるんだと思うよ~」
ハーティは珍しく、力のこもった顔つきと口調だった。
リーサは今も、魔法を極めている――。
それはどうだろう、というのがレリアの本音だった。
リベッドに付けられてしまった紋章のせいで意気消沈し、抜け殻のようになってしまったリーサに、更なる力をつける気力が残っているのだろうか。
それが大きな疑問だった。
リーサを巣くう紋章は、外見上の問題だけでなく魔力すら奪う。
もし、自分ならばどうするだろう。
きっと、頼れる人の元へ行く。
レリアはその時、バークニッツにいるエレーザの姿が思い浮かんだ。
何ものにも変えがたい育ての親の姿だ。
ただ、リーサにはそれがいない。
いるとするならば、やはり故郷のトレントルムなのである。
するとレリアにはどうしても、リーサが今も魔法使いとして、鍛練を続けているという積極的なイメージが湧かなかった。
ただ、ハーティは信じ続けているのだ。
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