再訪

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もっともありそうな、もっとも現実的な考えだけがすべてではないのだ。 「レリアさん、ありがと~」 ハーティはもう、すっかり大丈夫のようだった。 「いいわよ、そんなの。それに“さん”はもういらないわ。ほら、なんかよそよそしいでしょ?呼び捨てにしてくれていいから」 すると、ハーティは不思議そうな顔を少し傾けた。 それからほとんど間をおく事なく、今度はにっこりと笑った。 「ありがと~、レリア」 つられるように、レリアは自然と笑みをこぼした。 ハーティもまた、笑顔のうらっかわに、さまざまな思いを閉じ込めていたのだろう。 それは、リーサと同じだった。 たった3人の女性メンバーの1人として、そんな2人の心境に気づけなかったのは寂しい限りだが、それもまた過去の事だ。 変えられるのは――。 「ねえ、レリア~。グロスブルグに行ったら、リーサの事も探してみてくれないかな~」 ハーティは、聞き入れてもらえるかな、というふうな不安げな顔をして言った。 その心境はよくわかった。 そう簡単に全幅の信頼を置けるようになる程、人間は万能ではない。 人間関係は機械みたいに、オンとオフ、はいといいえ、だけでは語れないのはあたり前だ。 順々に、0から始まる関係を10まで持っていく。 1、2、3――と。 早い遅いはあれど、近道はないのである。 レリアは、微笑んで力強く頷いた。 こうして今、2人の関係は1つ上の数字を刻んだのだ。
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