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まず、結晶は赤い。
いや、橙色のほうが近いかもしれない。
魔獣のそれは、中央に綺麗な花が閉じ込められていたが、この中には羽根がある。
ペンダントとなっている羽根の形と似ている。
むしろほぼ一緒だ。
なんだか琥珀のようにも見える。
「きれいだね~」
「そうね……」
というより、神秘的だった。
歴史的にも重要な、まさに秘宝とでもいいそうな、高値がついて博物館に展示されるような、そんな雰囲気がある。
いい意味で古びている。
不思議な輝きがある。
それはよしとして――さて、どうしよう?
復活させるには、どうすればいいんだろう。
レリアは、おそらく聖獣フェニックスであろうものを象った石像から、結晶をするりと抜き取った。
両手でお椀を作って、その上に乗せてみる。
魔獣はこれで復活した。
魔力を吸収して、その姿を現したのだった。
だが、この結晶は反応しない。
うんともすんとも。
もしかして、ダメ――?
魔力がないから?
その時、レヴァンが生唾を呑んだのがわかった。
喉が鳴る音が聞こえた。
それくらい静かで、この部屋には何も気配を感じないのだ。
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