再起

10/26
前へ
/1150ページ
次へ
身体を動かしてみる。 痛くなんてない。 魔力は――あった。 すごい、回復してる――。 「やったわ……」 思わず、声が漏れた。 ずっと探していたものを見つけ出した時のような、ため息混じりの歓喜の声だった。 あまりにも呆気ない回復。 でもそんな事は、はっきりいってどうでもいいのだ。 「なんだ?どうしたんだ?」 また、レヴァンが訝しんでいる。 不審者を見るような目だ。 「魔力が戻ったのよ!」 今度は本当の歓喜の声が出た。 子供の頃にすら出した事のないような妙に高い声。 裏返っていたのかもしれない。 「ほんとかよっ?」 『ところで、お前……』 「ほんとよ!やったわ」 『おい、聞いているのか?』 「これでグロスブルグに行ける!」 『グロスブルグ?』 フェニックスが、レリアに尋ねるようにグロスブルグの名を繰り返した。 「そうよ」 レリアは、フェニックスに対してそう答えたのだが、先程まで会話をしていたレヴァンは、当然顔をしかめる。 この会話は少し難しい。 「ブレトスって言ったほうが、あなたにはわかりやすいかしら?」 しばらく返事は返って来なかった。 『あの……傍若無人なる国か』 フェニックスは絞り出すように言った。
/1150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3142人が本棚に入れています
本棚に追加