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「やっぱり、知ってるのね?」
聖獣――言ってみればモンスターだ。
なのに事情通とは。
レリアは少し可笑しくなった。
『デハートはどこにいる?』
「えっ、デハート……さん?」
ちょっとした衝撃だった。
だから思わず聞き返してしまったのだ。
デハートはもういない。
19年も前に亡くなっている。
『そうだ。デハート=ライファーズ。私を造り出した男だ』
それは知っていた。
問題はそうじゃなかった。
「デハートさんは、もう亡くなってるわよ……」
恐る恐る、答えた。
『亡くなっ……た?』
「そうよ。もう20年くらいは経つわ」
『20年?わからない。私はどれだけ封印されていたのだ?ブレトスからの侵略を防ぐため、私は魂と身体を分裂させて、結晶とペンダントへ封印された。そして、結晶はルバーネスに、ペンダントはある娘に持たせるとデハートには聞いていた。……お前は、その娘ではないのか?』
すぐには答えられなかった。
今度はちょっとした、ではなく、大きな大きな衝撃だった。
フェニックスは何も知らないのだ。
フェニックスを操る力を持つ者が誰なのか。
レティシアが今、どうなっているのか。
そして、ライファーズ一族が滅びてしまった事ですら。
彼が言う“娘”とは、紛れもなくレリアの実姉であるレティシアの事だった。
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