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「例の“アズ・フィニス”の話はしたわよね?その時にバハリアスが言ってたんだけど、初めて魔法が生まれた頃、魔法を使えるライファーズ一族は貴重な存在だったらしいのよ。それで、ブレトスのほうに無理矢理連れていかれた人がたくさんいたみたい」
レヴァンがじっと、神妙な面持ちでこちらを見ている。
だからなのか、不覚にもレリアは落ち着かない気持ちになった。
「だから……まあ、その……そういうこと」
「そうだったか……」
言って、レヴァンはため息を吐く。
「なんか悪いな」
レリアは首を傾げた。
「なんで謝るのよ。別にあんたがなんかした訳じゃないでしょ?変なこというわね」
「まあ、そうか。お前はこれからグロスブルグに行くんだよな?」
あたり前の事を聞いてくる。
さっきのフェニックスといい、レヴァンといい。
からかわれているんだろうかとさえ思ってしまう。
だが、レヴァンは、レリアの目的は重々わかっていて、確認するかのような口調だった。
「……そうよ。文句あるの?」
「いや、ないよ」
少し寂しげな声だった。
「アイツ、無事だといいな」
レヴァンはレリアから視線を外した。
瞬間的に、珍しい、とレリアは思った。
しょっちゅう怜人をからかっていたレヴァンがそんな事を口にするなんて予想外だったのだ。
今、横顔を覗かせているレヴァンは何を思うのだろう。
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