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地上に戻ると、皆がレリアを待ってくれていた。
太陽がちょうどてっぺんにいるが、吹き抜ける風は冷たい。
真上から照り付ける太陽とその北風はちょっとしたアンバランスを生み出している。
それからは、比較的早くエレノアの元へ戻る事ができた。
魔力の調子も上々だ。
そして魔獣と同じように、フェニックスの魔力を扱える事がわかった。
ただ、魔力量も体力も、以前と比べればずっと落ちている事にすぐに気づいた。
3年近く眠っていた事も無関係ではなさそうだった。
とにかく1人でもなんとかやれそうだ、という自信はレリアに戻りつつあったのだった。
「はい、レリアの荷物。必要ないものは持って帰ってアイリスさんに預けておくわね」
エレノアは、少し大きめのショルダーバッグに、持ち運び可能な必要最小限の荷物をまとめてくれていた。
「ありがとうございます。あの、先生……」
「いいのよ」
エレノアが短い言葉で遮る。
そしてすぐに背を向けてしまった。
「どうか無事で……。レヴァンたちとも話してあげて。私とは昨日、話したからね」
エレノアは短めに話した。
そして、声は震えていた。
慎重に、できるだけ短く、簡潔に言葉を選ぶように。
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