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「はい……。本当にありがとうございました。先生に会えて、ホープに入って、あたしの世界は変わりました。もちろん、いいことばかりじゃなかったけど、本当に……変わったんです。グロスブルグに行って、きっと……きっと、自分の未来を掴んで、きっとドラクロスに帰ります」
なんだかおかしな文章になった。
うまく伝わったかな、と心配にもなった。
「待ってる……」
絞り出したような一言だった。
エレノアは静かに、少し小さくなってしまったように、肩を震わせながら車に帰って行く。
それを見て、閉じた唇に力が入った。
後ろを振り返るとレヴァンたちが少し離れた場所にいたため、エレノアが用意してくれた荷物を手にそこへ向かう。
「任務終了……だな」
ニクラスが言った。
「ええ。……あ!」
レリアはバッグを漁った。
ほどなくして、分厚い財布を見つけた。
旅に必要なお金は、財布にぎっしりとつまっているのだ。
「依頼料ならいらねぇよ」
先回りして、レヴァンが憎たらしく言う。
レリアが顔を上げると、ニクラスとハーティも笑っていた。
「出世払い……じゃねぇな。そうだ、お前がアイツと戻ってきたら、アイツから払ってもらおうかねぇ」
今度は盛大に笑っている。
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