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その話をレリアは、ほんの3日前にこのどこか暗い街で聞いた。
都市部での聞き込みを開始した事もあり、偶然住人からそんな話を聞けたのだった。
ルバーネスを出て、すでに2ヶ月半が経過していた。
レリアが始めにグロスブルグ国土に侵入したのは、約1ヶ月半程前の事だ。
といってもたどり着いたそこは、街の遥か郊外だった。
グロスブルグの侵略によって、無理矢理土地を差し押さえられてしまった者たちが、ひっそりと貧しく暮らしている場所だった。
そこでレリアは、信じがたい実情を知る事になる。
村の住人は、否応なしに土地を差し押さえられた挙げ句、その土地代と称して農業を強要されていた。
そうしてできた作物の一部を国に納めるのである。
戦争、侵略が終わった今となっても、そんな現状なのだった。
レリアはそんな話を聞きながら、心優しい村人の家へ泊めてもらったりしていた。
田舎には宿がない。
だが安易に野宿をする訳にもいかなかった。
当然、郊外ともなればモンスターの襲来があるし、盗賊なども氾濫していて治安が悪いのだ。
幸い盗賊に遭遇する事はなかったが、レリアはモンスターの討伐は進んで買って出た。
それが、転々と代わる代わるお世話になっていく村人たちへの、ささやかな恩返しだったのだ。
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