冷厳の国

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そんな中、村人たちがモンスターを討伐するレリアの事を“2人目の救世主”と言ったのが少しだけ印象に残っている。 聞くところによると、“黄色い疾風”と呼ばれる何者かが、同じようにその辺りの治安を守ってくれているらしい。 なんにせよ、レリアは近隣の人々の役に立っていたのだ。 そしてレリアも、村人に助けられた。 もちつもたれつという訳だ。 そんな人々の協力もあり、約一週間前、ついにレリアはグロスブルグ北地区、その中心部に位置する街へ足を踏み入れたのだった。 窓の外から、レリアは室内へ視線を戻した。 安い宿は薄汚い。 部屋には化粧室を除けば、ベッドと壁にかかった鏡しかなく、面積もそのベッド3つ分くらいだろう。 だけど、お金は無限ではない。 いつまでこの国にいるかのわからない中、むやみに無駄遣いはできないのである。 それにしてもさすがに疲れた――なんだか、眠たい。 レリアはふらふらと歩き、ごろんとベッドに横になった。 最小限の荷物とはいえ、長い移動ではそれが多大に堪えてくる。 まだまだ病み上がりの身体には少々きつい。 やはり、体力と魔力は以前の半分くらいしか戻っていなかった。
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