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魔力に関しては、フェニックスのそれを使う事ができるため問題はないが、体力はそうもいかない。
疲れはみるみる溜まっていくのだ。
軽く寝返りをして、横向きになる。
もう何年も修繕などしていないのか、目の前にある壁紙の汚さが気になった。
日に焼けているし、ところどころがボロボロと剥がれている。
ああ、もう、なんでこんなところに――。
レリアは心中で嘆いた。
ひどく疲れた時は、思考が消極的になったり、心が弱ったりする。
レリアは今、そんな状態だったのかもしれない。
こんな薄汚いところは早く抜け出したい。
第一、街の空気が肌に合わない、とレリアは感じていた。
暗い、とにかく暗い。
どんよりとしている。
それはやはり、空をびっしりと覆う雲がもたらすものなのだろう。
それよりも――。
国全体が何かまがまがしいオーラにまとわれているかのようだった。
でも、怜人はここにいる。
ようやく、そこまでたどり着いたのだ。
そう思うと、レリアは今度、ちょっぴり切ない気分になった。
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