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男は教室に駆け込み、膝に手を着いて大きく息を吐く。
「ふぅ……朝から疲れた」
窓際の机に鞄を乗せて座る男は頭を軽く小突かれる。
「おはよう光太、今日は少し遅いね? とりあえず、先生がまだ居なくて良かったねー」
水色の髪のカチューシャを着けた女子が気さくに話す。
「ちょっとあってさ……なぁ七海、ウチの学校で赤い髪した男って知ってる?」
「ウチの生徒? うーん知らないかな、何かあったの?」
「水沢さーん、ちょっといいかな?」
「いや……今朝見かけて気になっただけだよ、ほら呼ばれてるぞ」
声を掛けた女の子の方に七海は近づき、振り向いて小さく手を振る。
「じゃあ後でね」
「ああ」
走った疲れのある光太は机に伏せ、すぐに眠ってしまった。
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