ある春の朝。

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中学を卒業して高校入学までの長い長い春休み。 ほとんどの人が友達と遊んだり旅行に行ったりと有意義な時間を過ごしているでしょう。 そしてこの先、新たに始まる高校生活に期待を抱く人、不安を抱く人。 中学の友人との別れを惜しむ人、もしくは別れを喜ぶ人もいるかもしれません。 人それぞれ色々な思いを胸に長い春休みを過ごしています。 そして僕、松本 渚もその一人です。 僕も先日までは中学の友達と春休みを満喫していました。 春休みが始まってからというものある日は近所のテーマパークに出掛け、またある日は電車を乗り継ぎ山の方へスキーに出掛け、そしてある日は街の方へ。 春休みもあと一週間、この調子で残りの春休みも遊び尽くす、、、、 はずだったんですが。 なんでこんな時に熱がでるんだよ! 春休みも残り少ないってのに嫌になっちゃいます。 外も晴天で遊ぶにはもってこいの天気です。 きっと僕の友達も今頃は残りの休みを楽しもうと遊び尽くしてるでしょう。 熱がでた友達にメールしたらもしかしたらお見舞いとか来てくれるんじゃないかな?とか思った僕がバカでした。 メールには友達が楽しそうに笑っている写真と「お疲れ」という短い文章。 まったく薄情で嫌味ないい友達ですね。 僕も熱で身体がだるいので少し休むとしましょう。 おやすみなさい。 ここは何処なんだろう。 辺り一面を見回しても見えるものは闇ばかり。 でもただ一つ見えるもの。 いや、見えないんだけどそこにいることがわかる。 そこにいる女の子は誰なんだろう。 普通はこんな状況に陥ったら怖くて怖くてたまらないだろう。 でもなぜか不思議と恐怖心はなくむしろ落ち着くとすら感じる。 この女の子は誰なんだろう。 僕が彼女に向かい手を伸ばすと何か冷んやりとした壁のようなものに触れた。 これはなんだろう。 僕がその壁に触れて確かめると彼女も同じように壁に触れていた。 彼女も僕がわかるのだろうか。 僕が彼女に呼びかけると彼女も僕に呼びかけてきた。 しかし壁の影響か彼女の声は聞こえず僕の声が響くだけだった。 彼女にもおそらく僕の声は届いていないだろう。 僕が残念そうに笑うと彼女も同じ僕と同じ顔で笑った。
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