0人が本棚に入れています
本棚に追加
「言いたいこと、たくさんあったんだ」
「うん」
「お前と行きたかった場所だって、たくさんあった」
「うん」
「…お前と…もっと、一緒に居たかった…」
彼はそう言って、涙を流した。
私にはもう
彼の涙を拭うことすら出来ない
「時間だよ」
行かなきゃいけない
もう此処にはいられない
「待ってくれ」
「もうタイムリミットだよ」
少しだけ笑ってみせた。
きっと、上手く笑えてない。
「私、本当に貴方が好きだった」
1年も、この世に縋りつく程に。
「行くなよ…っ」
「ありがとう」
「まだお前に言いたいこと…」
「…ごめんね」
「っ…」
そっと、彼の頬に触れた。
ただ私の手が、擦り抜けていくだけだった。
.
最初のコメントを投稿しよう!