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こんな所に一体誰が何の目的で? 道中ずっとこの疑問を抱いていた がしかし、ここに来て少なくとも目的は分かった ―応えよ― 突然、声が聞こえてきた しかも普通に耳に入ってきた音としてではなく、頭に直接語り掛けるような声が 「………」 ところがノラはこれに特別驚くようなそぶりをみせず、むしろ警戒するようにある一点を見つめる その一点とは上段と下段を繋ぐ階段の先、激流の地下水が流れている中に一つだけ存在している足場だ 四畳半程度のその足場には一つ台座が置かれていて、そこに一本、剣が刺さっていた ―応えよ、大いなる力を持つ者よ― しばらくの間無言で観察していると痺れを切らして声は再び語り掛けてきた (うわぁ…絶対面倒なやつだよ、これ。) 頬をひきつらせながら剣の方を見る ―聞こえぬのか、応えよ― 尚も剣はこちらに呼び掛けている
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