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急いでいた少年はその体制から走り出そうとして考えもしなかった出来事が起こった
足がもつれてこけたのだ
トラックはもう目の前だった
ようやく運転手も気がついたのか、青い顔をしながらブレーキを踏む
しかし、到底止まれるようなスピードではない
どうか、頭は打ちませんように
少年は倒れる際に、男の子を精一杯歩道に向けて放り投げた
男の子は歩道にはぎりぎり届きそうにないものの、車に轢かれることはないような所までは届いた
幸い頭も打つことなく着地した
しかし、少年がそれを知ることはなかった
もう目と鼻の先まで近づいたトラック
無理だと分かりつつも、避けてくれることを願っていたが、やはり浅はかな希望だったようだ
運転手の青い顔
迫りくる大きな鉄の塊
さけぶような甲高いタイヤのスキール音
走馬灯なんか浮かばないじゃん
そんなことを考えながら少年の意識は闇に呑まれた
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