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「なんで今更学園に行く必要があるんだよ!
学ぶことなんて何もねえじゃねえか!」
「上の方々がな、『ギルドの頂点に立つ全帝が学園も卒業してないとあっては示しがつかん!』とうるさくてなあ。」
「でも学園は義務教育じゃねえぞ。
それにあそこに行くのは貴族なんかがほとんどじゃねえか。
俺はヤだね。」
「お前が貴族を好きじゃないのは分かるが…
それにこれは俺からの頼みでもあるんだぞ?」
「親父からの?」
「ああ。
お前は今までよくやってくれた。
寝る間も惜しんで依頼をこなし、全帝という地位に就くくらい努力した。
だから、少しくらい休んでもいいんじゃないか?」
「嫌だ!!
俺にとってここが俺の全てなんだ!
休む必要なんてない!」
…
「…クロス。
お前はやはり学園に行くべきだ。」
「なんで!?」
「……お前はここに依存し過ぎている。
俺はお前に少しでも外のことに興味を持ち、交流を深めてほしい。
それに貴族といっても悪いやつばかりではないんだぞ?
そういうことも含めて学園で学んで来い。」
「でもギルドは!?」
「なぁに、こっちのことは心配するな。
今は平和そのものだし、高ランクの依頼もほとんどない。
心配することはないさ。」
「…ああ。」
「それにお前に戻ってくるなと言ってる訳じゃねえ。
お前は俺の大事な息子だ。そう…義理だとしてもな。」
「…ああ。」
「よし!
じゃあ荷造りでもしとけ。」
「いつ出発なんだ?」
「明日だ。」
「は?明日?」
「学園の方には編入という形で手続きしてある。
4年間頑張れよ。」
「おい!ふざけんな!
なんでもっと早く言わ「はいはい分かったらもう行った。」ちょっ親父!?」
「ミカエルー、来てくれ。」
シュン
「お呼びでしょうか、レイモンド様。」
「どうせ話は聞いてたんだろう?
こいつを連れて荷造りにでも行ってくれ。」
「分かりました。」
「ミカエル!?
まだ話が終わってな」
バタン
…
「…頑張れよ、クロス。」
男side-out
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