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「だけどスラムのごろつきのもんにまで手を出したのが間違いだった。 見つかった俺は囲まれてリンチ。 もう死ぬんだろうなあと思ったよ。 でもそこに一人のじーさんが現れて『弱い者を囲ってなぶるのは感心せんのう。』って襲いかかったごろつきどもを瞬殺したんだ。 で、事情を説明したらごろつきどもに傷薬をやってボスのところまで行ったんだ。 そこでじーさん何したと思う? 『わしの息子が迷惑をかけた!許してくれ!』って平謝りして金貨を数枚渡したんだぜ。 信じられるか?見ず知らずのガキに金貨数枚だぜ。 それでボスの所から戻ったときに俺は聞いたんだ、『なんで俺なんかのためにそこまでしてくれるのか?』って。 そしたらじーさん、死んだ息子に似てたから助けただってさ。 そして続けてこう言ったんだ『一緒に広い世界を見てみないか?』ってな。 それで俺はじーさんについていくことにしたんだ。 じーさんは有名な行商人だったらしくてな、いろんな町で庶民から貴族まで相手して商売してたよ。 俺もその影響で商人をしてんだ。 で、じーさんは「気」って力の達人でな、それでごろつきどもを瞬殺したんだが、『商人といえども自身を守るために力を付けねばならん。』ってさんざんしごかれたよ。 まあおかげで五体満足で生きていられるんだがな。」 「それでそのおじいさんは…」 ノラがふと気になり聞くと 「死んだよ。 ずいぶん前にな。」 微笑みながら告げた 「あっ!すみませ「謝る必要はねえよ。その事については踏ん切りがついてるからな。」 そして楽器を見ながら続ける 「あの楽器、リュートって言うだけどな、あれはじーさんから貰った…形見なんだ。 俺がまだ貴族だった頃、嫌いだった勉強の中で唯一好きだったのがリュートの演奏なんだ。 商売の途中でそれを見つけて物欲しそうにしてたんだろうな、じーさんが買ってくれたよ。 今じゃあれのおかげで繁盛してる。 ほんとじーさんには感謝してもし切れねえよ。」
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