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「…ん…。」
少女がたじろぎ、僕は身を一瞬で離した。
少女が目を覚ました。
少女の目は薔薇の花弁の色―血のような紅だった。
「…あなた…。」
少女が僕を訝しげに眺める。
まさか、口づけしたことがバレてしまっただろうか?
少女の紅い目は、僕を残酷なほど睨みつけている。
「…っ。」
僕はいきなり目眩を感じ、ふらついた。
意識が…朦朧と…。
なんとか意識は繋ぎとめるけれど、見える世界が歪んでいる。
闇がせまっている。
ここは闇に包まれるのだろう。
―ドサッ
僕は倒れ込んだ。
世界が廻っている。
「…チッ」
少女が僕と闇の間に入り、手を闇にかざした。
少女のツインテールがゆらゆらと揺れていた。
闇がどんどんせまる。
世界が歪み、また廻る。
―僕は意識を失った。
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