9/9
前へ
/41ページ
次へ
「…ん…。」 少女がたじろぎ、僕は身を一瞬で離した。 少女が目を覚ました。 少女の目は薔薇の花弁の色―血のような紅だった。 「…あなた…。」 少女が僕を訝しげに眺める。 まさか、口づけしたことがバレてしまっただろうか? 少女の紅い目は、僕を残酷なほど睨みつけている。 「…っ。」 僕はいきなり目眩を感じ、ふらついた。 意識が…朦朧と…。 なんとか意識は繋ぎとめるけれど、見える世界が歪んでいる。 闇がせまっている。 ここは闇に包まれるのだろう。 ―ドサッ 僕は倒れ込んだ。 世界が廻っている。 「…チッ」 少女が僕と闇の間に入り、手を闇にかざした。 少女のツインテールがゆらゆらと揺れていた。 闇がどんどんせまる。 世界が歪み、また廻る。 ―僕は意識を失った。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加