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少女はまた席につき、ブリオッシュをナイフで小さめにカットし、口に入れた。
このちょっとの行動でさえ、少女はとても優雅だ。
紅茶のカップを柔らかな唇につけ、紅茶をのんでいる。
つい少女に見とれている僕に気がついて、少女は僕を睨んだ。
「…私が焼いたブリオッシュと紅茶は気に入らないかしら?」
苛だちを含んだ声に僕ははっとし、紅茶のカップを口にはこんだ。
「いや、美味しい。ありがとう。」
紅茶からは薔薇の甘い香りがして、僕はなぜだかちょっとホッとした。
この薔薇の香りは、前から知っている気がしたからだ。
「遠慮なんてしないでいいわ。」
少女はぶっきらぼうに言って、また紅茶を口に含んだ。
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