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(白が似合わないだなんて…。) 実際、ロゼは漆黒のゴシックロリータに身を包んでいた。 僕にはなぜだか、ロゼが自ら闇に堕ちた堕天使のように見えた。 「…ど、どうして…。」 僕は言いかけたけれど、口を閉ざした。 聞いてはいけないことだってある。 きっと、このことは聞いていいことではない。 「…もう晩餐はお仕舞い。あなたの部屋はさっきの部屋よ。一人で行けるでしょう?」 ロゼはカップと皿を片づけ始めていた。 「…晩餐?」 僕は考える。 ここは夜の世界で、いまは晩餐で、これから眠るのか? またこの夜に目覚めるのに? 「えぇ。いまは眠りなさい。」 ロゼは僕に背を向けた。 ダイニングの奥まで行き、扉へと手をかけた。 「…ロゼ、待って!」 僕の大きな声に、ロゼは振り返った。 訝しげに僕を見ている。 「…僕の名前、知ってるんでしょ?教えて?」 ロゼは扉を開けながら、ゆっくりと僕の名前を告げた。 「…シオン・セレナーデ。」
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