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「…ん。」
目を覚まして、部屋が真っ暗なことに気がついた。
―あぁ、ここは夜の世界だったっけ。
なぜか、暗い中で目覚めることには慣れていなかった。
記憶を失ってはいるが、感覚も狂ってしまったのだろうか?
「…僕は、この世界で生きてきたんだよね?」
闇にどうしても目が慣れない。
これでは明かりさえつけられないのに。
―コンコン
「は、はい。」
ノックされていることに気がつき、おどおどと返事をした。
扉が開き、誰かが入ってきた。
「おはよう。ちゃんと眠れた?」
少女の可愛らしい声。
ロゼの声だ。
ロゼが明かりをつけたのか、小さなシャンデリアが光を灯し、僕は驚いて一瞬目を閉じる。
「あ、いや、まぁ。」
ぜんぜん眠れなかったなどとは言えないので、僕は曖昧な返事をした。
やっと目が光に慣れて、僕は扉の前にいるロゼに目をやる。
「マフィン焼いたの。いるでしょ?」
僕はロゼに微笑んでベッドから下り、ロゼと一緒にダイニングへと向かった。
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