1人が本棚に入れています
本棚に追加
どこかにぶつかってしまわないように、僕はゆっくりと歩いていた。
前の見えない中ではかなり怖い。
だけど、どこにもぶつかることはなかった。
ここは、永遠の闇でできているのだろうか?
どこまで行っても、闇からは逃れられないのだと、僕は絶望し始めていた。
「…あ…れ?」
僕は一瞬歩みをとめた。
…薔薇の…だけどなぜか甘ったるいような香りがした。
こんな香り…いったいどこから…?
僕は香りを頼りに、また歩きだした。
「…っ。」
歩けば歩くほど、どんどん香りは強いものになる。
なぜか、僕の心を締め付ける香り。
懐かしいような、香り。
僕はこの香りを知っていたような気がした。
この香りの先に行けば…何かを思いだせるのだろうか…。
「…!」
気がつけば、行きどまりだった。
僕の歩みは、壁らしきものに遮られてしまった。
なのに、薔薇の香りは壁の奥からただよっているようだった。
…行けるのだろうか?この奥に…。
「…扉…?」
壁を調べていると、金属らしきノブにさわった。
この奥に…なにかがある。
僕はノブをゆっくりと回し、扉を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!