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「い、痛…。」
僕は背中をさすりながら上半身を起こした。
僕の手が柔らかい何かにさわったのに気がつき、ちらりと見ると、少女の手だった。
どうやら、僕はこの少女に躓いてしまったらしい。
「…ごめん。」
謝ってみても、やはり反応はなかった。
僕は少女の手を眺める。
さわった手は温かかった気がした。
屍の手なら温かいわけがない。眠っているだけなのだろうか。
少女をじっと眺めてみると、少女がかなり美しいことに気がついた。
(こんな人を、絶世の美女って言うんだろうな…。)
僕は呑気に考えていた。
なぜか、闇がせまっていることさえ気にならなかった。
―どこかで、会ったことあっただろうか?
記憶は失ったままなのだが、見覚えがあったように感じたのだ。
―この少女は、きっと僕が誰なのか知っている。
僕はこう考えていた。
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