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ジオの腕に抱きつくサラの体は震えていた。死ぬのが怖いくせに、自分を犠牲にする。
自分の命をなんだと思ってるんだろう……
「そろそろだよ」
サラの言葉を聞いて我に返った。
確かに耳を済ませば音が聞こえてくる。武器がぶつかり合う音、雄叫び、甲高い叫び声、そして悲鳴。
死にに行く訳じゃない。しかし、ジオにだって怖さはある。
「行けるか?」
こんなことをサラに言って、自分で自分も安心させているんだなと思う。
「うん」
サラの小さい返事を聞いて、ジオはサラの体を優しく抱きしめた。
サラを戦わせたくないから隊長の座を下ろしたのに、戦っている。
戦うために生まれた……エドの言葉が脳裏をよぎった。
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