Not Reach ~A目線~

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だから俺は、決めたんだ。 崇の前では何の感情も見せないと。 どんな状況であっても、必ずポーカーフェイスを貫くと。 そうしなければアイツはあのキャラでいられなくなる。 もし、司会者から例の質問がとんだときに俺が少しでも表情を崩せば、 敏感で優しいアイツは、俺の気持ちに気づいてきっと困ってしまう。 それだけは絶対に避けなければならない。 そして、俺は今日も、何でもないというような顔で崇を見つめた。 これが、崇のことを一番よく知っている俺が、 崇のためにできる唯一のことだと自分に言い聞かせながら。 すると崇は俺から目線を外し、大声を張り上げた。 「そうですよ!アイツなんか大嫌いですよ!!」 そう、それでいいんだよ、崇。 それでお前は今日も、“笑い”をとれるんだ。
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