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再び湾岸スタジオへ駆け込む。
エレベーターを待つのがいつもよりも遅く感じて
俺は階段を駆け上がった。
ピースの楽屋へノックもせずに転がり込む。
しかし、そこに祐さんの姿はなくて…
「吉村くん!!一体どうしたん?
帰ったんやないの?」
帰り支度をするまったんがそこにいた。
「祐さんは?」
「え?」
「祐さんは!?」
思わず声を荒らげる。
「綾部なら、もう帰ったで。」
俺はそのまま楽屋を飛び出した。
まったんの呼びとめる声も
俺には届いていなかった。
階段を駆け下り、スタジオから出る。
さすがに息が切れた。
息を整えようと立ち止まったとき、
「あ、雨………」
かなりの土砂降り。
そういえば、
今晩は雨が降るって、天気予報でも言ってたっけ。
でも、そんなことなど
今の俺にはどうでもよかった。
整わない息をそのままに、再び俺は走り出した。
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