きっかけ

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チ「おい、てめえ!。年下のくせに生意気なんだよ!。」 東「うぐっ・・・」 あの頃の俺は、今とは違ってかなりの小心者だった。友達も自分からは作れない、周りの空気に流されて自分の意見は出せない。相手から何か言われても言われてなくても、ただただ平謝りするだけの自分に、少し嫌気もさしていた頃だった。 チ「先輩の通る道を塞いでまでぶつかろうなんて、いい度胸じゃねーかよ!」 東「ご・・・ごめんなさ・・・うぐっ・・・。」 実際、相手がわざとぶつかってきたのだけど、俺は反論できずにただ謝ってしまったため、何故か俺を屋上に連れ出した先輩たちから腹パンチを何回も喰らうことになってしまってた。てかまず、ろくな大人にならないのはどっちだったんだろう・・・。 チ「お前みたいに生意気な奴には、しっかりとしたお仕置きが必要だよなぁ~。」 東「そ・・・そんな・・・僕は何も・・・。」 チ「うっせえんだよ!。罪人は黙って被害者の言うことを聞いてればいいんだよ!!」 東「ぐあっ?!。げほ・・・げほ・・・。」 思いっきりのどを掴まれ、むせてしまいながらも呼吸しようとあらがう。勝手に罪人にならされてもなにも言えない自分は、もうこうなったらこのまま死んでもいいような気がしてた・・・。 チ「すぐに痛いなんて感覚・・・しねぇようにしてやるよ!」 そういって殴りかかってきそうになったとき、誰かが声を上げた。 ?「おい!何やってんだよお前ら!」 チ「げっ・・・あいつかよ・・・めんどくせえやつに見つかったな・・・逃げるぞ!」 声が聞こえたと同時に、先輩たちは思いっきり走って逃げていった。おいてけぼりにされた俺は、声を上げた生徒を見て寒気が走った。その人は僕と同じ1年生だったけど、空手で県大会を1位で突破したっていう実力を持っている武術家だった。上級生にも対等に振舞うけど、根っこは優しいとか聞いたことある。それが・・・薫だった・・・。 本来俺は、運命的な出会いをしていたのかもしれない・・・でも当時の俺はそんなことより、身長が高くて武術家・・・その見た目が俺の心を重くした。彼にもし殴られたらどうしよう・・・。それこそほんとに怪我じゃ済まなくなりそうだ。もし死んでしまったら?。骨ごとこっぱみじんこにされてしまうんじゃないだろうか・・・。 ・・・・・・・・・逃げなきゃ・・・・・・・・・・・でないと死ぬ・・・・・・・・。
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